葵居屋

小説を書いている葵居ゆゆのお知らせ用&日常ブログです。
ついったもやってます→@yuyualthaea

2017年7月の近況とお礼

2017.07.23 Sunday
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    こんばんは。

    関東では梅雨明け宣言も出て、暑い日が続きますね。

    ここ二週間ほどは、活動時間が不規則で、だいたい明け方の4時くらいまで起きていて、そこから寝て、7時半〜8時頃起きて、あれこれやって、夕方に2時間くらい寝る、というサイクルがメインで生活しています。

    外せない用事もあったりするので、そういうときは9時頃寝て1時に起きるとか。

    慢性的に寝不足かなあと思うのですが(でもこのあいだぷつっと糸が切れたみたいに8時間くらい寝たりもしました)、とりあえずなんとかなっています。もうちょっと頑張ります。

     

    ばたついているせいで、月1回は書きたいなあと思っている近況報告も、6月は結局書かずに終わってしまいました。

    とくにどなたも期待してない記事だとは思いますが(笑)いただいた拍手コメントのお返事も兼ねているので、やらないとつい気になってしまうんですよね。

    ということで、久しぶりですがコメントお返事させていただきます。

     

    クローバーバラクローバーバラクローバーバラクローバーバラ

    6月2日2時の方

    「愛傷コレクション」読んでくださってありがとうございました! 花賀屋さんは十有がいて最高に楽しく幸せを満喫してると思います(笑)これからもよろしくお願いします♪

     

    6月20日13時の方

    『うさぎ』シリーズお読みいただきありがとうございました! 響太は聖にがっつり溺愛されているので、きっと純真な部分を残したまま生活していけそうな気がします♪ 楽しんでいただけてよかったです!

     

    6月23日22時の方

    花賀屋と十有、気に入っていただきありがとうございます! 素敵なイラストまで描いていただけて感激でした。宝物です♪

     

    6月28日23時の方

    『愛傷コレクション』お読みいただきありがとうございます! 夏コミでは番外編を書く予定なので、おまけSSができたらブログにもアップしますね!

     

    クローバーバラクローバーバラクローバーバラクローバーバラ

    新刊の出ない月だったので、コメント少なめでしたが、ログをみたらけっこう拍手だけは押していただいてました。ありがとうございますハート

    最近、既刊をあとから手に取ってもらえる機会が増えたのか、以前のSSも読んでもらえていて嬉しいです!

     

    また、感想のメール、お手紙もありがとうございます!

    お返事できないままで恐縮ですが、とても嬉しく拝読しています。

    みなさんすごく心のこもった感想を寄せてくださるので、私も1冊1冊頑張らないと!という気持ちになります。

    お返事では気の利いたことがちっとも言えないんですけれど、そのかわり(といってはなんですが)次の本を読んでくださったときにも、「よかった!」と思っていただけるように、丁寧にお話が書きたいなあと思いますハート

     

    編集部宛にいただいたお手紙については、お礼のSSペーパーをお送りする予定でいます。

    去年からのものには、「とろけるまで縛って」のおまけSSペーパーを用意しているのですが、全然返送できていないので、今の状況が変わり次第、対応させていただこうと思っています。

    それ以前は『箱庭のうさぎ』のペーパーをお送りしていたので、『箱庭』『虹色』のお手紙にはそちらをお返ししようかなと。

    お手紙の中でご指定いただければ、お好きなほうをお送りすることもできますので、これから感想書くよ!という方は、ほしいほうがあったら指定してくださいね。

    メールの場合は、アナログで封書が届くのが嫌でなければ、住所とご本名を添えていただければ、こちらも同じようにSSペーパーをお送りするようにしたいと思います。

     

    なかなか、こまめなサービスができる質ではなくって心苦しいのですが。

    とりあえず、できるところまで対応させていただきたいなと思っているので、のんびりお待ちいただければ幸いです。

     

     

    お仕事の近況は。

    すでに告知していますとおり、8月には2冊、本を出していただきます。

    それと、去年開催されていた秋のリンクスフェアの全員サービス小冊子が、応募された方のお手元にも届いていると思います。

    『虹色のうさぎ』の後日談っぽい、大晦日の二人を書かせてもらったので、読んでほっこりしてもらえたら嬉しいです。

     

    現在取りかかっているのは、予定どおりなら年内に出るかも?な本です。

    初稿中。

    あとは年内ぎりぎりか、来年のはじめ頃になるかな?という本のプロットもやっています。

    8月のあとはまた少しあいだがあきますが、そのあとは2018年の前半にかけて数冊、順調に出るかなあと思いますので、ぜひぜひ楽しみにしていただければと!

    初稿、どんなふうにお見せしようかと迷うところもあるのですが、今のところとても楽しく書いています。

    無事に皆様にお届けできますようにき

     

    夏コミの新刊は、あいまに作業をしている状態なので、ちゃんとお知らせできるまで、もうしばらくお待ちください。出る、といいなと思っています。間に合わなかったらすみません……。

    来週には「出ます!」とお知らせできますように。

     

     

     

     

     


    夏コミ(8/12)と大阪インテでの既刊取り置きについて

    2017.07.19 Wednesday
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      こんにちは。夏コミは2日目、8月12日(土曜日)に参加いたします。

      翌週日曜日(20日)のスパコミ関西にも参加します。

       

      スペース情報(夏コミ):東3ホール カ07-a

           (インテ):6号館B そ27a

       

      サークル名:Papricalion(ぱぷりかりおん)

       

       

      新刊については、まだわからないので、はっきりし次第アナウンスさせていただこうと思います。一応出すつもりでいますが、もし無理だったらごめんなさい。

      ※7月28日追記

       新刊、出そうです。こちらはまた改めて、別途ブログを書きますね。

       

      新刊や再版する『とろけるまで躾けて』は潤沢に在庫があるので取り置き対応はいたしませんが、夏コミとスパコミ関西のどちらかで、そのほかの既刊をお買い求めになりたい方は、下記をご覧の上、メールフォームからお申し込みください。

       

       

      両イベントとも、既刊は、

      白の国の椿姫(『恋獄の椿姫』番外)400円

      うさぎみっくす(『箱庭のうさぎ』『虹色のうさぎ』番外)300円

      新月の甘やかな花嫁(『九天楼の買われた花嫁』番外)400円

      ・はじめて男子のあまあま家族(『はじめて男子の非常識な恋愛』番外)300円

      ゆゆ全席(過去の完売同人誌の再録集)1200円

      ・とろけるまで躾けて(『とろけるまで縛って』番外)300円

       

      の6種類持ち込みします。多いですね……(笑)

       

      このうち、オレンジの文字にしているものの在庫数が少ないため、取り置きを承ります。

      トリオキニを使ってみようと思っていたのですが、1冊ずつしか取り置き申し込みができないみたいなので、管理が楽なのかそうじゃないのかよくわからず、とりあえず今までどおり、メールフォームをご利用いただくことにしました。

      新刊だけや、上でオレンジになっていない、在庫が確保できている既刊だけ取り置きは対応いたしませんが、たとえば「既刊全部ほしい」というような場合は、まとめて取り置きしますので、ほしい本のタイトルをメール内に記載してくださいませ。

       

      クローバー取り置き方法クローバー

       

      (1)メールフォームメールをご利用ください。

       問い合わせ種別は「取り置き」を選んでください。

       

      (2)下記より、本のタイトルを選び、冊数をご記入ください。

       

      白の国の椿姫     冊

      うさぎみっくす    冊

      新月の甘やかな花嫁  冊

      ゆゆ全席       冊

       

      ※ほかの既刊、新刊も一緒にご希望の方は、お手数ですがタイトルと冊数をご記入ください。

      ※新刊は「新刊」と書いてください。

       

      (3)取り置きされる方のお名前(HN可)をご記入ください。

       

      (4)順次メールにて受け付けましたというご連絡を差し上げますので、そちらをお待ちください。

       

      受け付け期間:2017年7月19日〜8月2日まで!

       

      クローバー メールフォームは こちら からどうぞ クローバー

       

      もしわからないことがあったら、ツイッターで質問してくださいね。

      完全に手動で受け付けいたしますので、ちょっとお返事がおそかったりするかもしれませんが、まったりゆったりご利用いただければと思います。

       

      なお、コミコミさんで在庫切れしているものについては、夏コミ終了後、手元に残るものがあれば納品しようと思っています。

      WEBで在庫切れ表示でも、店頭に数冊残っている場合もあるので、気になる方は問い合わせしてみてくださいね。

      ではでは、お申し込みお待ちしております!

       


      8月刊2冊のお知らせ

      2017.07.15 Saturday
      0

        こんばんは。

        諸事情ありまして仕事がかたまってしまい、手帳を見てはぽかーんとしています。

        頑張ります……!

         

        ばたばたしていてブログもこまめに更新できていないのですが、8月下旬に出る2冊、情報が出揃いましたので、いったんまとめてお知らせさせていただきますヤッタv

         

        足跡まずは1冊目。

        8月28日発売が

        『初恋相手は神様、旦那様』(ガッシュ文庫/イラスト:小禄先生)

        です!

         

        長年存在感ゼロのせいでさんざんな目にあってきた変わった体質の受・真純は、転職先に選んだペット用品会社で社長の大神と出会う。明るく快活な彼は強引なほどまっすぐ真純に近づいてきて……というお話。

        大神はオオカミ=犬神さまの末裔です。神様だけど、力が弱くなってきたので、人間界でも生きていけるように会社を経営しています(笑)。

        真純は人間相手には幽霊なみに存在感がないのに、フェロモン体質で犬にだけは大モテするというせつない体質で、今まで恋をしたこともないのですが、大神に出会って初めて恋をするお話になっています。

        明るくてライトな、優しい雰囲気のお話ですが、途中はちょっときゅんとしつつ、最後はあまーく読み終えていただけると思います。

         

        花束2冊目! こちらがついに20冊目きの本になります。

        8月30日発売

        『初恋ウエディング』(リンクスロマンス/イラスト:小椋ムク先生)

         

        高校生のときの経験がきっかけで他人の体温が苦手になってしまった拓実は、昔からの夢だった「自分だけの家族」を作るため、子供連れの女性と結婚するが、半年で逃げられてしまう。会社は休職、住むところは建て替えのために立退かねばならず、子供と二人で途方にくれていたところ、高校時代の親友・偉月が新進気鋭の社長としてテレビに出ているのを見かける。

        偉月は、体温が苦手になった原因の相手。拓実は子供のためにと、偉月のもとにのりこむが……というお話。

         

        「神様、旦那様」のほうは出会って恋に落ちるパターンですが、「ウエディング」のほうは再会ものです。

         

        この二つ、プロット提出時期は全然違うのですが(違うからか)、あれこれ似ている部分がありまして。

        攻が社長というのと、受がどちらも初めて恋をするお話、受が途中で会社を変わる(攻のところに勤める)、最後に二人が選ぶ関係性も同じ、という状態なので、まとめて出るのは不思議な感じですが。

        読んでみると、それぞれ、ちょっとずつ空気感がちがうお話になっていると思いますので、よかったら読み比べてみてくださいねきゃvネコ

         

        ここのところちょっと重めのお話が続いていたのですが(そうでもないかな?)、家族ものだったりもふだったりと、ハートフルな雰囲気の8月刊、そういうほうが好き!という方はもちろん、SMとか変態とかが好きなのよーという方も、「たまにはいいかな?」とおつまみ感覚で、お手にとっていただけたら嬉しいです。

        葵居の作品を、すでに何冊かばらばらな傾向でお読みいただいて、その上で「わりと好きかな」と思っていただけていれば、今回も大丈夫じゃないかなーと思うので……暑さで疲れている頃に書店さんに並びますので、のんびり癒されてもらえたらいいなーと思っております。

         

        うーん、自著をおすすめするのってなかなか難しいですね。

        でも、初めましての方にも、いつも読んでくださる方にも、最近知ったよという方にも、いっぱい手にとっていただいて、気に入っていただけたらいいなと思っていますハート

         

        2作品とも、特典がつく予定ですが、店舗や内容についてはまだ未定なので、決まり次第順次お知らせいたします。

        暑い日が続きますが、続報、どうぞお楽しみに♪

         

         


        【電子書籍】本日より『愛傷コレクション』配信されています

        2017.07.10 Monday
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          7/10よりプラチナ文庫さんの『愛傷コレクション』電子書籍版が配信されております!

          愛傷表紙

          yoco先生のイラスト、表紙だけでなく、口絵、本文イラストも全部すばらしいので、電子版でもじっくりご堪能いただけたらと思います!

          『愛傷〜』は表紙がちょっと変わったイラストになっているところも、タイトル字が手書き風なのもお気に入りです。

           

          電子書籍版は、

          Kindle

          honto

          ebookjapan(コミコミスタジオ)

           

          など、主要店にて配信されています。

          (リンクがうまくできてなかったらごめんなさい!)

           

          楽天kobo

           

          ↑こちらは7月28日に配信開始のようです。

           

          パピレスさんだけ未定なのですが、前回の『とろけるまで縛って』も結局配信されましたので、今回もしばらく遅れて配信開始になるのではないかと思います。

          パピレスご愛用の方はもうしばらくお待ちください。

           

          電子版配信を機に、また初めましての方に手に取っていただけますようにネコ

           

           

           

           


          「佐藤亜紀さんと車座トーク」イベントに参加した感想です

          2017.07.02 Sunday
          0

            夏コミのこととか拍手のお返事を兼ねた近況などは、また明日以降ということにさせていただき、今回は一個人の日記です。

            自著に関連した話は出てきません。本当になんの関係もない、雑談です。

             

            **********

            追記

            「佐藤亜紀小説研究ノート」さんのブログノートで当日の様子のまとめが公開されています。

            こちらのブログでは先生の著書についての情報がたくさんまとめられています。

            **********

             

            ちょっと前に気になっていたイベントには参加できなかったので、今回はタイミング的に厳しいなあと思いつつも申し込んだ伽鹿舎さん主催の「佐藤亜紀さんと車座トーク」。

            以前、加地さんご本人がトークされるイベントに参加したときも、とりたてて役に立たない感想文を掲載したのですが、今回も同じく、「レポ」ではなく感想文です。

            具体的なトークや質疑応答の内容は、ツイッターでまとめてくださっている方もいらっしゃいますし、その場でしか感じられないニュアンスは参加者の特権、ということで。

            無駄に長い上にあちこち脱線もしますので、おヒマな方はおつきあいください。

             

             

            蔵前のHABさんが会場で、こぢんまりしたスペースにはいっぱいの参加者さん。

            車座トークってどんな感じに進むのかなと思っていたら、参加者から佐藤先生へ質問するところからスタート。質問にあわせて先生がお話をいろいろ展開させていく、という流れでした。ちなみに最初の質問者は豊崎由美さん(だったかと思います、違っていましたらすみません)。書評家の方! 『スウィングしなけりゃ意味がない』の誕生秘話が伺えました。

             その後も、思い返すと全体、よく統制のとれた、というか、バランスのいい質問が多かった気がします。なんとなくですけど、「こういう質問が出たなら、こういう方向の質問も聞いてみよう」という感じ。私も質問したので自画自賛みたいで恐縮ですが(笑)。佐藤先生はもしかしたら違う方向の内容も予定されていたかもしれないですが、私はいろんな方向のお話が聞けてとっても楽しかったです。

             

            そんなバランスのとれた質疑応答から、しみじみと感じたのは、佐藤亜紀という作家の「小説への向きあい方」というか、「取り組み方」、「姿勢のあり方」でした。

            たとえば、自分で言っといた前提をやぶってしまいますけど、「膨大な資料をあたった上で作品を書かれているのに、その膨大な資料で得た事実、知識といったものを全面に出すことはないですよね。知ったことは全て書きたいという誘惑というものにどうやってうちかっているのか」という趣旨の質問があったのですが、それに対するお答えが、まさに、「佐藤亜紀は小説をどのように書くのか」の一端だなあと思うのです。

            あとこれは先生のツイッターなど見れば既出なので書きますが、「時間の流れの緩急」「コントロール」という部分を意識されているというのもとっても興味深く、個人的に感じていた地の文の時制の違和感はその調整のためだったのかなと思ったりしました。文の時制に特徴があるのは「吸血鬼」に顕著かなと勝手に思ってるんですけど、すごく単純に戯曲的な表現なのかと思っていた……奥が深い。

            ほかに、『スウィングしなけりゃ意味がない』でお気に入りの場所は? という質問もあったのですが、そのお答えも、主催の伽鹿舎さんからの最後の質問「小説のこれからの可能性」のお答えも、『スウィングしなけりゃ〜』の章タイトルのつけかたについての質問に対する答えも。一番最初の質問に応じての、本作を書いたきっかけについてのお話もそうでしたし、最後のほうで男性からヨーロッパが舞台の書籍についての質問があったのですが、それに対する答えも含めて、どんなふうに小説を書かれているかの一端を垣間見られたように思いました。

            もちろん、「こんなふうに『小説を書く』ことに向きあってらっしゃるのだなあ」と私が思ったのは単なる勘違いかもしれず、いや全然そんなことないよって先生は苦笑するかもしれないし、まったくべつのことを感じた参加者さんもいるかもしれませんが、やっぱり私には、「常に新しい、その先にあるもの」を意識されて、ご自分の書き方、書くものをアップデートしながら書かれているんだなあ、と思えたのでした。

             アップデート、っていうと、前が悪かったとか、古びたとかいう意味にも取られそうなのでちょっと不適切なんですが、ひとつのテーマだったり、技法だったりでもって1作書き上げたら、絶対に「次でも同じ」にはしない、という意味です。

            (ついでに、「次でも同じ」にすることよりも「次では同じにしない」のが優れているとか、そういうことを言いたいんでもないです。書き方は、みんな違ってみんないい)

             私の失礼な質問にも快く答えてくださったことも含めて、先生が小説という媒体に対して誠実だなあと思えて、帰り道はとっても幸せでした。

             

            その帰り道、上のような感想をふまえつつ、つらつら考えたのは、「佐藤亜紀は文章を書いてるのではなく、小説を書いているのだな」ということでした。

            もちろん世の中の小説家さんたちは小説家なんですから小説を書いてるんですけど。

            それでもって、小説の書き方もいろいろで、どんなことに注力するか、なにをどのように描くことで小説にするのか、どう読ませることで小説にするのか、皆さんそれぞれ思うところがあって、アップデートしたり、つきつめたり、試行錯誤したりしてるんじゃないかなあと思います。

            小説の評価って、まあざっくりしたところだと「面白かったか面白くなかったか」が一番多いのですが、今回のトークイベントの感想に関しては意味がないものなのでおいておきます。

            あとはテーマだったりキャラクターだったりの評価、文章のうまい下手、構成力、視点(着眼点)などいろいろありますけれど。なんとなくでアレなんですが、一番、やいのやいのと言われがちなのって、「文章力」じゃないかなーと思ったり、してたんですね。

            表現がうまいとか。詩的とか。美しいとか。叙情的とか。

            逆に、ぎこちないとか雑だとか、わかりにくいとか。

            もうちょっとつっこむと構成力まで文章力に含められてるなあということも、あるかと思います。まあ、小説なんで、文章でできてるわけで、その文章の出来不出来をあれこれ言われるのは当然ですね。

            でも、小説の出来って、つきつめたらたぶん、文章のうまい下手には関係がないんじゃないかな。いやもちろん、関係はあるんですけど、文章がうまく書けるっていうのは、小説を書く上ではあたりまえであって、たとえばプロの演奏家が「上手に楽器を弾ける」のは大前提、というのと同じだと思うんですよね。

             綺麗なだけの文章なら、誰だって、プロじゃなくたって書けます。詩的な文章とか、すごく素敵な比喩表現だとか、その文章だけ読んでも美しい文章は、書けてもべつだん、普通です。母国語でさえあれば、あとは基本的に語彙の問題なので、練習すれば美しい文章が書けるに決まっています。悦に入って繰り返し読みたいような、あるいは他人が気に入ってくれるような文章を書くのは、くどいですけど練習の成果でしかなく、「すごい技術」でもなんでもない。

            誤解されたくないので言っておくと、美しい文章、好きです。自分では思いつかないような表現を読んだりすると「わぁっ」って感動しますし、読めてよかったなあって思います。この流れなのでさらに言っておくと、佐藤亜紀先生の文章の美しさはやっぱり素晴らしく、もぎゅもぎゅと何回噛んだって飽きないです。

            (もうちょっと脱線すると、そもそもおまえもプロの端くれだろうのに、この感想文の文章の下手くそさはどうなんだよって思いますが、よい文章を書くために感想を書いているのではないんだよって逃げておきますね。閑話休題。)

            でも、です。文章が上手かどうかと、小説の良し悪しは、別物だと思うんです。だいたい、文章技能がある一定以上になったら、それの評価って個人の好き嫌いにすぎないなって思いますし。もっとも、物書きで「文章が下手くそだ」と評価されて嬉しい人はいないとも思います。やっぱり、上手いって言われたほうが嬉しいですよね。

             でも、すごく素晴らしい、最高の文章が書けたからといって、小説が書けるわけじゃあない。最初から最後まで綺麗な文章を並べたらいい小説になるわけでもない。テーマがあるから小説になるのでも、ストーリーとか起承転結があるから小説になるのでもないし、キャラクターがいるから小説になるんでもない。

            どれも大事な要素だけど、その要素を、「いかに、立体的に組み立てるか」という、建築家みたいな眼差しがなくちゃ、小説って書けないわけです。書けないは言いすぎですね。要素さえそろえれば、書くことはできます。けれど、「書き続ける」ことはできないんじゃないか、って、今回思いました。

             書き続けるっていうのは物理的な意味ではなく、作家としての独自性っていうか、うーん、なんて言ったらいいだろう、「その人」の小説にはならないんじゃないかなっていう、感じかなあ。

            『スウィングしなけりゃ意味がない』で言うなら、同じ時代、同じスウィングユーゲントというテーマ&キャラクター、同じストーリーを揃えても、他の人が書けばまったく別物になるはずですよね。文章が違うってことじゃなくて、「別物」になるはずです。

             

            話が飛びますけど。

            たぶん、「小説」としての出来が上がれば上がるほど、感想って複雑になるか、もう複雑になるどころじゃなく「言語化できないけれどすげえよかった」みたいになるしかないのかも。ひとつずつ、要素をひろって「ここがよかった」とか「あそこが素晴らしかった」「この部分が面白かった」と言うことはできるけど、「じゃあだからこの作品は素晴らしいんだね?」と聞かれたら「うーんいやそれだけじゃなくて」ってなる。で、あれこれ自分が読み取れる範囲でよかったところを挙げて、最後には「とにかくいいんだよ」って乱暴に言うしかない、みたいな。

             

            戻ります。

            最初の「佐藤亜紀は文章ではなく小説を書いてる」→「要素を揃えるだけでは書き続けることはできないんじゃないか」の流れに戻ります。

            つまりですね、作家・佐藤亜紀を佐藤亜紀たらしめているものは、結局のところ、彼女の「小説に対する姿勢」なんじゃないかな、と思ったのです。

            どのように小説を書くか、っていう。

             

            最後まで読んで、「この馬鹿はなぜあたりまえのことをこんな長々脱線しながら書いてるんだ?」ってなってる人が目に浮かぶようですが。

            でも、あたりまえかもしれないけど、ぼんやり感じてたことを、先生がお話しするのを直接聞いた上で、すとん、と思うのでは全然違うと思うんです。

            少なくとも、私には全然違ってました。

            絶対、もう一回、著書を読みたくなること請け合いです。

            だからもし、車座トークイベント行きたかったな、って思ってここまで読んじゃった人は、次に機会があったら、ぜひご自分で行ってみてくださいね。もしかしたらわーって驚くかもしれないし、納得するかもしれない。どっちにしても、「ちっ損したわ」とはならないはずなので。

             

            すごいイベントのダイマみたいな締めになった。

            長々とおつきあい、ありがとうございました。

             


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